【北海道企業向け】LP(プロパン)ガス料金“三部料金制”新ルール完全ガイド

2025年4月2日に施行されたLPガス法改正により、LPガス料金は〈基本料金・従量料金・設備料金〉の三部料金制で必ず内訳提示が義務化され、ガスと無関係な設備費用は新規契約で全面禁止となりました。北海道企業にとってはコスト透明化の大チャンス。今すぐ契約・請求書を見直し、見えないコストをゼロにしましょう。

1. はじめに:なぜ今 LP ガス法改正なのか

1‑1. 背景とスケジュール

経済産業省は2024年4月、「液化石油ガス法施行規則」を改正しました。改正は2段階で適用され、2024年7月2日に過大な営業行為の制限、そして2025年4月2日に三部料金制の明示と設備費外出し禁止が施行されます。目的は利用者保護と業界の健全化です。
(参考:経済産業省プレスリリース)

引用元:https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250402001/20250402001-1.pdf

1‑2. 何が問題だったのか

  • 設備費の上乗せ:ガス会社がエアコンやWi‑Fi機器を無償設置し、償却費をガス料金へ転嫁
  • 請求書の不透明さ:「ガス料金一括請求」で総コストが把握できない
  • 交渉力不足:LPガス依存度が高い北海道では事業者が不利な契約を結びやすい

2. 新ルールのポイントを図解で理解する

2‑1. 三部料金制とは?

区分主な内容担当者が確認すべきポイント
基本料金検針・保安・メーター償却など固定費契約書で固定額が明示されているか
従量料金使用量 × 単価単価(円/㎥)の算定ロジックと改定ルール
設備料金給湯器・配管等ガス関連設備の償却費非ガス設備が含まれていないか精査

2‑2. “設備費外出し禁止”の範囲

  • 新規契約:電気エアコン、宅配ボックス、Wi‑Fiルーター等、ガスと無関係な設備費用は一切計上不可
  • 既存契約:計上は例外的に可だが三部料金明細表示を即義務化。2027年3月31日までに外出しへ移行する努力義務
  • 罰則:違反時は立入検査→業務改善命令→登録取消・罰金50万円以下の可能性

3. 北海道企業に特有の影響とリスク

  1. LPガス依存度が全国トップ:都市ガス網未整備エリア48%。宿泊・食品加工・福祉施設が主戦場
  2. 冬季ピークと物流制約:フェリー遅延や港湾規制で燃料調達コストが上振れしやすい
  3. “ゼロ円リフォーム”契約の後遺症:過去の無償内装・空調工事契約が高単価回収を招来

4. 担当者が押さえるべき実務対応 5 ステップ

4‑1. 請求書フォーマット刷新

2025年4月以降、三部料金の各行がない請求書はNG。PDF/CSVで保存し監査証跡を残すこと。

4‑2. 契約書レビュー

「設備貸与契約」「保守契約」「賃貸借契約」の付属条項を突合し、二重請求・重複償却を排除。

4‑3. LPガス会社との交渉準備

  • 設備償却残高とリース残高を取得
  • 北海道LPガス協会の地区別平均単価をベンチマーク
  • 他社見積を2社以上取得し交渉カードに

5. ケーススタディ:年間 8,232,000 円を削減した食品工場

項目改正前改正後差額(月)差額(年)
基本料金18,000 円18,000 円00
従量料金650 円 × 5,000㎥ = 3,250,000 円560 円 × 5,000㎥ = 2,800,000 円▲450,000 円▲5,400,000 円
設備料金200,000 円0 円▲200,000 円▲2,400,000 円
合計3,468,000 円2,818,000 円▲650,000 円▲8,232,000 円

設備費外出しでの単価低減40 円/㎥と交渉での値下げ50 円/㎥が合わさり、月間650,000 円(年間約823 万円)のコスト削減を実現。削減原資の一部を50kW自家消費型太陽光へ投資し、約4.1年で回収予定。

6. よくある質問(FAQ)10選

  1. 既存契約で設備料金を取り続けられる? → 法令上可だが早期移行努力義務あり
  2. 三部料金を表示すれば単価は自由? → 自由料金だが不当値上げは独禁法リスク
  3. 燃料調整費は三部料金に含める? → 別枠計上可。ただし算定式開示が望ましい
  4. オフサイト保安費用はどの区分? → 基本料金または設備料金に分類可
  5. 集合住宅オーナー代行請求の表示義務は? → オーナーにも三部料金表示義務
  6. 違反した場合の罰則は? → 登録取消・50万円以下罰金の可能性
  7. 小規模需要家の適用除外は? → 契約規模に関係なく全契約が対象
  8. 集中タンクの按分基準は? → 容量・最大需要量など合理的基準で合意を
  9. EMSクラウド利用料は? → 別契約でソフト費用として計上推奨
  10. 法改正後の監督権限は? → 経産省北海道局が立入検査権限を保有

7. まとめ:今すぐ始めるチェックリスト

  • 4月分請求書に三部料金明細行があるか
  • 設備料金に非ガス設備費が含まれていないか
  • 契約書に「設備料金=0円」または算定式が明示されているか
  • ベンチマーク単価を取得し交渉カードを準備

8. おわりに:totoka が伴走します

totoka は改正対応ギャップ診断、三部料金フォーマット提供、LPガス会社の料金適正化、 省エネ補助金申請支援をワンストップでご支援。 数字で語れるエネルギー戦略へ。北海道企業の“知らなかった損”をゼロにしましょう。