【電気容量市場】の仕組みと参加方法:初心者向け完全ガイド<北海道のエネルギーコンサルが解説>

電気容量市場とは

電気容量市場は、4年後必要な発電能力(供給力)をオークション形式で募集する仕組みであり、電力供給の安定性を確保するために導入されました。電力需要と供給のバランスを取るため、需要側と供給側の参加者が電力容量をオークション形式で取引します。

電気容量市場の重要性とメリット

電気容量市場の重要性は、電力需要と供給のバランスを取ることにあります。適切な容量が確保されないと、需要過多や供給不足の状況が発生し、電力の安定供給が脅かされます。電気容量市場の導入により、適切な容量を確保し、電力供給の安定性を高めることができます。

「容量」というのは、少々わかりづらい言葉ですが、「必要な時に発電することができる能力(kW)」のことを意味しています。たとえば火力発電のような、電力が必要となった時すぐに発電できる設備を持っている発電事業者は、その能力があるといえるでしょう。

資源エネルギー庁より引用 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/youryou.html

電力市場における役割

最近、節電が急に重要視されるようになったと感じる方は多いと思います。これは、火力発電所の停止や東日本大震災以降の原子力発電所の休止が要因です。再エネ発電所は増えていますが、天候に左右されるため、火力発電所の完全な代替にはなりません。特に再エネ発電所の稼働が低い時間帯に柔軟な運転ができる火力発電所の減少により、安定した電力供給が脅かされる状況になっています。

容量市場をつくることのメリットのひとつは、前述したように、再エネの調整力として必要な電源を確保しておくことで、出力の不安定な再エネを支え、再エネの主力電源化に役立てることにあります。

また、小売電気事業者にとっては、発電所をもたなくても電力を調達しやすくなること、事業環境を安定化させられることも利点です。

https://www.occto.or.jp/market-board/market/files/200914_mainauction_youryouyakujokekka_kouhyou_jitsujuky024.pdf

電気容量市場の仕組み

電気容量市場では、オークションが行われます。

「電力広域的運営推進機関(広域機関)」が、4年後使われる見込みの電気の最大量(最大需要)を試算。その需要を満たすために必要な「4年後の電力の供給力」を算定します。その際、「気象や災害によるリスク」も含めながら「調達すべき電力」の目標容量を算定します。

次に、その調達量をまかなうために、「4年後に供給が可能な状態にできる電源」を募集します。これはオークション方式でおこなわれ、価格が安い順に落札されます。

資源エネルギー庁より引用 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/youryou.html

よくある質問と回答

Q:電気容量市場はいつからスタートするのですか?
A:電気容量市場は2020年度から開始しておりますが、4年度の約定価格を決定するので、実質的な運用は2024年度から開始になります。

補足:容量市場の約定価格は、2024年度向けの初回オークションでは14,137円/kWでした。

2025年度向けオークションでは北海道と九州が5,242円/kW、それ以外のエリアは3,495円/kWとなりました。2026年度向けでは北海道と九州が8,748~8,749円/kW、それ以外のエリアは5,832~5,834円でした。徐々に約定価格は下落傾向にあります。

Q:誰がどのように負担するのでしょうか?
A:小売電気事業者と一般送配電事業者は、「容量拠出金」として負担することになっています。この負担は需要シェアに基づいて行われるため、旧一般電気事業者のシェアが大きいため、彼らが大きな負担を負うことになります。ただし、旧一般電気事業者は多くの発電所を所有しているため、容量市場からの収入も大きいです。

一方、発電所を持たない一部の新電力事業者は容量市場からの収入を得ることができず、容量市場運営のために追加の費用を支払うだけです。

Q:市場価格や新電力に対する影響はありますか?
A:容量市場の実際の運用が始まる2024年度以降、容量拠出金を理由に値上げをする新電力があるかもしれません。新電力と発電業者で相対契約による売買が成立している場合でも容量拠出金を広域機関に支払う必要があります。

電気容量市場の課題

電気容量市場には、いくつかの課題が存在します。我々は制度の存在を認識し、仕組みを把握することで今後の電気代や新電力との付き合い方を検討するために情報取集をし続ける必要があります。

将来展望

電気容量市場は、電力供給の安定性を確保するために重要な役割を果たしています。将来的な展望では、課題の解決や改善策の導入により、より効果的な容量市場が実現されることを期待しています。