再エネ賦課金とは?
経営を行う上で、電気料金は避けて通れない経費の一つですが、その内訳を詳しく見たことはありますか?今回は、再エネ賦課金の仕組みについて解説していきます。
再エネ賦課金の導入
再エネ賦課金の正式名称は「再生可能エネルギー発電事業者に対する調整措置等に関する法律に基づく賦課金」であり、その長い名称から通常は「再エネ賦課金」と呼ばれています。この賦課金の目的は、再生可能エネルギーの普及を促進することにあります。
過去に日本では、主に石炭や石油などの化石燃料に依存して発電が行われてきましたが、これらの燃料の使用は二酸化炭素の排出を増加させ、地球温暖化やその他の環境問題を悪化させる可能性があります。
そこで、より環境に優しいエネルギー源への転換が求められるようになり、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーへの関心が高まりました。再生可能エネルギーの発電設備の建設を促進し、このエネルギー源の利用を拡大するために、再エネ賦課金が導入されたのです。
再エネ賦課金の算定式
再生可能エネルギーの賦課金の単価は、経済産業省の再生可能エネルギーに関する特別措置法に従い、経済産業大臣によって毎年決められます。この単価は、再生可能エネルギーによる電力の供給が効率的に行われる際の通常の費用などを基に計算され、その設定過程では、調達価格等算定委員会からの意見を重視します。賦課金の単価は「再エネ買取費用」「回避可能費用」「販売電力量」の3つの要因をもとに、特定の式に従って求められます。
<算定式>
賦課金単価(円/kWh)=[①再エネ買取費用(円) - ➁回避可能費用(円) + 事務費(円)]÷ ③販売電力量(kWh)
①再エネ買取費用 | 電力会社が固定価格買取制度(FIT)に基づき、再生可能エネルギーの買い取り費用。 |
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➁回避可能費用 | 固定価格買取制度(FIT)による買い取りを行うことで、電力会社が支出を免れた費用。 |
②販売電力量 | 電気事業者が販売する予定の電気の量で、過去の実績に基づいて推計される。 |
再エネ賦課金の推移
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーを普及させるために設けられた固定価格買取制度の下で発生するコストです。この制度は、再生可能エネルギー源からの発電量が増えるにつれて、その普及のために必要な財政的支援を行うことを目的としています。その結果、発電量が増加すると、賦課金による負担も大きくなります。
特に、2012年から2015年にかけて10kWを超える産業用太陽光発電の導入が拡大したことで、2016年以降の賦課金の単価は大幅に上昇しました。2012年にはわずか0.22円だったこの単価が、2022年度には3.45円まで跳ね上がり、約10年間で16倍近くに膨れ上がったのです。
2024年度再エネ賦課金の値上がり決定
経済産業省は2024年3月19日に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを推進する目的で、電気料金に追加される賦課金を2024年度にはキロワット時当たり3.49円に設定することを公表しました。
まとめ
今回は、再エネ賦課金の制度について説明させていただきました。
年に1回単価が変動する再エネ賦課金ですが、電気を大量に使用する業態を経営されている企業は再エネ賦課金による経営へのインパクトも大きくなります。
毎年、3月頃に発表されるので、チェックするように心掛けましょう。