【速報】令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージの概要解説!【主な変更点や新設のIT診断とは?】

2024年度の経済政策の一環として、令和6年度補正予算案に基づく「省エネ支援パッケージ」が発表されました。このパッケージは、エネルギーコストの高騰やカーボンニュートラルの実現を目指す中小企業に対する大規模な支援策を含んでいます。本記事では、その概要を分かりやすく解説し、事業者が活用しやすい形で情報を整理しました。


目次

  1. 省エネ支援パッケージの全体像
  2. 事業者向け支援策
    • 工場・事業場全体の省エネ補助
    • 電化・脱炭素型設備への補助
    • 設備単位での更新支援住宅向け支援策
    • エネルギー需要最適化補助
  3. 省エネ診断の強化策(IT診断の新設)
  4. 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
  5. 補助金活用のポイント
  6. 結論:省エネ支援の利用で未来の持続可能な事業へ

1. 省エネ支援パッケージの全体像

今回の補正予算では、総額約2,375億円が省エネ支援に充てられています。大きく分けて以下の施策が展開されます。

  • 工場・事業場全体での省エネ支援
  • 電化や脱炭素化設備の導入支援
  • 住宅の高断熱化や高効率給湯器設置支援

これにより、事業者や家庭のエネルギーコスト削減とともに、脱炭素社会への移行を促進します。

2. 事業者向け支援策

令和6年度補正予算案では、事業者向けに大きく4つの支援策が展開されています。それぞれの特徴と内容を以下に解説します。

資源エネルギー庁より引用:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/government/data/package_r6.pdf

工場・事業場全体の省エネ補助(Ⅰ型)

  • 目的: 工場全体や事業所全体で大幅なエネルギー効率向上を図る取り組みに対する支援です。
  • 補助率: 中小企業は1/2、大企業は1/3
  • 補助上限額: 最大15億円(非化石転換型の場合は20億円)
  • 特徴: 中小企業向けの「投資促進枠」では省エネ設備の組み合わせによる大規模投資も支援対象となります。

電化・脱炭素型設備への補助(Ⅱ型)

  • 目的: 電化や低炭素燃料への転換を伴う設備更新を支援します。
  • 補助率: 中小企業は1/2
  • 補助上限額: 最大3億円(電化設備の場合は5億円)
  • 対象経費: 工事費や設備費(中小企業は付帯設備の工事費も対象)
  • 特徴: ヒートポンプなど高効率設備の導入も補助対象です。

設備単位での更新支援(Ⅲ型)

  • 目的: 特定設備への更新を支援し、省エネ効果を促進します。
  • 補助率: 中小企業は1/3
  • 補助上限額: 最大1億円
  • 省エネ要件: ①~③のいずれかの要件を満たすこと
    • ①省エネ率:10%以上
    • ②省エネ量:1kl以上
    • ③経費当たり省エネ量:1kl/千万円
  • その他要件:省エネ法に基づく定期報告義務がない事業者(特定事業者等以外の事業者)については、エネルギーの合理化に関する中長期計画を策定すること(指定するフォーマットで作成)

エネルギー需要最適化補助(Ⅳ型)

  • 目的: エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入を通じて、エネルギー消費の「見える化」や「最適化」を図ります。
  • 補助率: 中小企業は1/2、大企業は1/3
  • 補助上限額: 最大1億円
  • 対象経費: 設計費・工事費・設備費
  • 特徴: デジタル技術を活用した見える化を進め、運用改善やエネルギー需要の最適化を促進する事業者を支援します。特に中小企業では、EMS導入範囲内での具体的な改善提案も行います。

3. 省エネ診断の強化策

省エネ診断は、中小企業を中心に省エネ対策を推進するための重要な支援施策です。今年度からは、従来の診断に加え、より具体的でデータに基づいた改善提案が可能となるよう、次のような強化が行われます。

資源エネルギー庁より引用:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/government/data/package_r6.pdf

新設された診断メニュー「IT診断」

IT診断では、エネルギー使用状況の詳細な「見える化」と、それに基づく分析・提案を行います。

IT診断の特徴

  1. 計測機器の活用
    • 工場や設備に計測機器を設置し、エネルギー消費状況をデータで収集します。
    • 診断機関が機器を貸し出す仕組みを採用し、事業者の負担を軽減。
  2. 具体的な提案
    • 計測データをもとに、専門家がエネルギーの無駄を特定。
    • プロセス改善や設備更新のための具体的な省エネ施策を提案します。
  3. 負担額
    • 中小企業の費用負担は20,000円~50,000円程度(大規模診断では最大200,000円)。

従来の「ウォークスルー診断」との違い

診断区分内容費用負担例
ウォークスルー診断工場や事業所を専門家が訪問し、エネルギーの使用状況を簡易的に調査し改善点を提案。約15,000円(規模により変動)
IT診断計測機器を用いて詳細なエネルギーデータを分析し、より精度の高い提案を実施。約20,000円~50,000円

組み合わせの活用

両診断を組み合わせることで、まずウォークスルー診断で概要を把握し、必要に応じてIT診断で詳細な改善提案を受けることが可能です。

診断後の「伴走支援」

診断後も、設備更新やエネルギー管理の継続的な支援を受けられます。

  • 設備更新計画の作成支援
    診断結果に基づき、省エネ改修の計画を立てるためのサポートを提供します。
  • 地域との連携
    自治体や地域の金融機関と連携し、事業者が支援策を利用しやすい体制を整備。

4.業務用建築物の脱炭素改修加速化事業

令和6年度補正予算案では、業務用建築物の脱炭素化を促進するために、建物全体の省エネ性能を向上させる取り組みが強化されています。この事業は、既存建築物の外皮性能や設備の効率を改善することで、温室効果ガス排出量削減を図りながら快適性や競争力を向上させるものです。

支援の内容

対象となる改修内容

  • 外皮の高断熱化
    • 断熱窓や断熱材の設置。
  • 高効率空調機器や給湯設備の導入
    • 空調や給湯の効率化を図る高性能設備への更新。
  • 高効率照明の導入
    • 電力消費の少ない照明器具への変更。

主な補助要件

改修後の建物性能に以下の基準が求められます。

  • 外皮性能の向上: 外皮性能BPI(Building Performance Index)が1.0以下となること。
  • 一次エネルギー消費量の削減:
    • 用途ごとに30~40%以上の削減が必要(例: 事務所や学校は40%、ホテルや飲食店は30%)。

補助額

  • 補助率: 1/2~1/3
  • 補助金上限: 改修内容に応じた定額補助。

事業の対象

  • 対象者: 地方公共団体や民間事業者など幅広い主体が対象。
  • 対象設備: 断熱窓、断熱材、高効率空調機器、照明、給湯器などが含まれます。

5. 補助金活用のポイント

  1. 事前準備: 対象設備や事業計画の確認を行い、必要書類を整備する。
  2. 制度の選択: 工場全体、設備単位など、自社に最適な支援を選ぶ。
  3. 専門家への相談: 補助金申請の手続きは専門的な知識を要するため、自治体やコンサルタントのサポートを活用する。

6. 結論:省エネ支援の利用で未来の持続可能な事業へ

令和6年度補正予算案に基づく省エネ支援パッケージは、北海道の企業にとって、光熱費削減や省エネ改修を進める絶好の機会です。当社では、補助金の申請や省エネ計画の策定を支援しております。お気軽にご相談ください。