新電力の部分供給が廃止!?【新電力と地域電力の供給方式はどのように変わるのか?】

制度廃止の方針発表

経済産業省は、2024年3月29日に電力・ガス基本政策小委員会という有識者会議で、以前から一般電気事業者が新電力会社へ行っていた「部分供給」というサービスを終了する方針を発表しました。

部分供給とは

この「部分供給」とは、太陽光発電などを中心に活動する新電力が、安定した電力供給や夜間電力を確保できていない状態、または電力卸市場の成熟が不十分な状況下で、一時的な対応策として2013年に設けられた制度です。具体的には、新電力が不足する電力を旧一般電気事業者が補い、一つの供給ポイントを通じて消費者に対して一体的に電力を供給する方式です。

資源エネルギー庁資料より引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/072_04_00.pdf

廃止の背景

しかし、経済産業省は、本来の目的に沿わない使われ方が増え、電力卸市場の整備が進んで自由な市場からの十分な供給が可能になったため、部分供給の必要性がなくなったと判断し、これを段階的に廃止する計画を立てています。

他方で、足下では、①ベースロード市場創設や旧一般電気事業者の内外無差別な取引の進展等による新電力のベース供給力へのアクセス機会の拡大、②卸電力取引所の取引量の増大等による供給力調達の自由度の向上、③部分供給を活用する新電力が限定的であること、を踏まえれば、部分供給は「卸電力市場が機能するまでの当面の対策」としての役割を果たしたと考えることが適当ではないか。

資源エネルギー庁資料より引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/072_04_00.pdf

【参考】オフサイトPPAについて

また、経産省は、「部分供給」の廃止が太陽光を中心とする新電力のオフサイト型PPA(電力購入契約)には影響しないと説明しています。オフサイトPPAでは、小売電気事業者が、特定の発電事業者からの電力と市場からの電力を組み合わせて、消費者のニーズに応じて供給しています。これは、一つの消費者に対して一つの電気事業者が供給する形式であり、複数の事業者が一体となって供給する「部分供給」とは異なる点です。

まとめ

このコラムを通じて、経済産業省が「部分供給」制度の廃止を決定した背景とその影響について検討してきました。この政策変更は、新旧電力事業者の役割、再生可能エネルギーの導入拡大、そしてエネルギー供給の安定性という観点から、日本のエネルギー市場における重要な転換点を示しています。