いまさら聞けない!?JPEXと市場連動型プランの仕組みについて【北海道のエネルギーコンサルが解説!!】

JPEXとは?

JEPXは、Japan Electric Power Exchangeの略称で、日本で唯一の大口電力取引所です。日本における電力自由化の流れを受けて、2003年に創設されました。この取引所では、発電事業者や小売電力事業者などが電力の取引を実施できます。

JEPXは発電事業者から電力を購入し、それを小売事業者に売っており、卸電力のため、購入できるのは会員登録した電力会社だけです。(2023年3月時点でJEPXの会員数は281社にのぼります。)

取引の方法は?

PEXでは、1日を48の時間帯(30分ごと)に分け、各時間帯ごとに電力の取引が行われます。これは、「スポット市場」や「当日市場」といった異なる市場で取引され、それぞれ取引の条件や価格の決定方法が異なります。

日本全国は9つのエリア(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州)に分かれており、それぞれのエリアごとに市場価格が設定されています。これを「エリアプライス」といい、地域ごとの電力需要と供給のバランスに応じて価格が変動します。

JPEXを理解するメリット

JPEXを理解することで、電気代がどのように決まっているのかを知ることができ、電力プランを選ぶ際の参考になります。

例えば、電気代が高いと感じたとき、それがJPEXの市場価格の影響かもしれません。市場連動型プランを利用している場合、JPEXの価格動向を把握することで、電気代を節約するチャンスを見つけやすくなります。

取引市場について

取引市場は大きく分けて3つになりますが、今回はその中の2つに絞って説明させていただきます。

スポット市場(1日前市場)

スポット市場は、卸電力取引所が主催する代表的な電力取引市場の一つであり、発電または販売する電力を前日までに入札することで、翌日に売買が成立する市場です。この市場は、一日前市場としても知られています。

この市場では、最低取引単位は1コマ(30分)あたり50kWhで、1日分の48コマから選択できます。売り手と買い手は、取引日までに、売却量と価格または購入量と価格の組み合わせをネットの取引システムを通じて入札します。入札価格は、kWh当たりの価格を銭単位(0.01円)で指定します。

約定価格や約定量は、「シングル・プライス・オークション」という方式で決定されます。取引所は、締切後にすべての入札を「売り」と「買い」に分け、売買の量と価格から、需要曲線と供給曲線が交わる均衡点をコンピューターが計算し、約定価格を決定します。売り手は、約定価格よりも安い売値を設定していた場合でも、買い手は約定価格で取引ができます。同様に、買い手は、約定価格よりも高い買値を設定していた場合でも、売り手は約定価格で取引ができます。ただし、約定価格よりも高い売値や安い買値の場合は、取引が成立しないことがあります。

市場価格は、日々の電力需要と供給状況や季節によって変動します。

当日市場(時間前市場)

「当日市場」は、電力の調整のための場所であり、発電不調や気温の変化などの予期せぬ事態に対応するために、電力の取引を行います。例えば、発電所が事故で停止してしまい、必要な量が発電できなくなった場合は、当日市場で不足分を補うことができます。また、気温が上昇することで需要が増えることが予想され、調達分が不足する場合も、当日市場で必要な分を追加調達することができます。一方、気温が下がることで調達分が余剰になる場合は、既に調達した電力を売却することも可能です。

当日市場では、30分単位で取引が行われ、商品ごとに時間優先や価格優先でザラ場取引がされます。取引単位はスポット市場と同様に50kWhで、入札価格はkWh当たり銭単位(0.01円)で指定します。スポット市場と異なり、当日市場は予期せぬ事態に対応するための場所であり、取引量が比較的少なく、時間的にも限られた取引が行われます。

市場連動型プランとは?

市場連動型プランは、JPEXの市場価格に基づいて電気料金が変動するプランです。このプランを利用することで、電力使用タイミングによっては電気代を節約できる可能性があります。例えば、電力需要が少ない深夜や、太陽光発電が豊富な昼間に電気を使うと、電気代が安くなることがあります。

しかし、市場連動型プランにはリスクもあります。電力需要が急増したり、供給不足が生じた場合、市場価格が急騰し、電気代が大幅に上がる可能性があります。

引用元:https://www.jepx.jp/electricpower/market-data/spot/

1日のトレンドとして、昼間は電気使用量が落ち込み、太陽光発電量が増加するため、安価になる傾向があります。

昼間の営業をメインにしている事業者であれば、市場連動型プランの導入を検討する価値があります。

一方で、固定プラン(北海道電力等)と比較すると電力高騰時には、リスクを負うことになりますので、メリットとデメリットを検討する必要があります。

市場連動型プランのメリットとデメリット

メリット

  • 電気代の節約:電力が安い時間帯を狙って使用することで、電気代を大幅に節約できます。
  • 環境への配慮:太陽光発電など再生可能エネルギーの利用が増える昼間に電気を使用することで、環境負荷を減らすことができます。

デメリット

  • 価格変動のリスク:市場価格が急上昇した場合、電気代も同様に上昇する可能性があります。特に冬場の寒冷地ではリスクが高いです。
  • 使用時間の管理が必要:電気を安い時間帯に使用するためには、日々の電力使用スケジュールを管理する必要があります。

市場連動型プランを選ぶ際のポイント

市場連動型プランを検討する際には、自分のライフスタイルや電力使用パターンを考慮することが重要です。以下のポイントを参考にしてください。

  • 電力使用時間を把握:日中の太陽光発電が多い時間帯に電気を使うことが多い方には、特に市場連動型プランが有利です。
  • リスク管理:電力価格が高騰するリスクを許容できるかどうかを考え、リスクを分散するために、固定プランとの併用を検討するのも一つの方法です。

まとめ

JPEXの価格は、常に変動しており電力のトレンドを見ながら、契約内容を見直す必要があります。また市場連動型プランであっても、複数の会社が提供しているので、比較検討し、最も自社にマッチする電力会社を選定するようにしましょう。

弊社では、市場連動型プランや固定プランの両方を提供しており、企業に最適な電力プランの選定をサポートいたします。電力コストの見直しをお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。