札幌市「都心アクションプラン」について解説!今後、札幌はどのように変わるのか?

札幌市都心アクションプランとは

札幌市都心アクションプランは、札幌市都心の持続可能なまちづくりや低炭素化を目指すための計画や取り組みを示すものです。以下の内容はエネルギー分野に特化し、説明させていただきます。

札幌市都心エネルギーマスタープランの要点

  • 理念:「Sustainable Smart City」を目指し、豊かな暮らしを受け継ぎながら、世界から信頼される都心を実現すること。
  • 3つの基本方針と目標
    1. 低炭素:エネルギーを効率的に使用し、脱温暖化を先導する都心を目指す。目標は、2050年までに建物から排出されるCO₂を2012年比で80%削減すること。
    2. 強靭:非常時でも都市活動を継続し、人々と企業に安全・安心を提供する都心を目指す。目標は、2050年までに都心強化先導エリアの分散電源比率を30%以上にすること。
    3. 快適・健康:冷涼な気候を活かし、人々が快適・健康的に過ごせる都心を目指す。目標は、都心の回遊性を向上させ、心地よく健康的に過ごせる場所を2倍にすること。
  • 2050年のビジョン:2050年の札幌都心は「Sustainable Smart City Sapporo」として表現され、環境やエネルギーに関する先進的な取組を官民連携で展開し、持続的に発展する世界のモデル都市を目指す。

このマスタープランは、札幌の持続可能な未来を形成するための基盤となるものです。

札幌都心の持続可能なまちづくりの要点

  • ビジョン:「Sustainable Smart City Sapporo」として、多様な人々が幸福感や満足感を感じて生活・働く、訪れたくなる札幌都心を目指しています。
  • 方針:2050年までの道筋として、環境・エネルギー分野から始め、連携分野を広げて低炭素で持続可能なまちづくりを進めることを示しています。
  • 将来的な取り組み:都心の更新に合わせて、スマート化に関連する先端技術や仕組みを積極的に導入し、多分野での官民連携を強化しながら取り組みを進める予定です。

札幌都心のマスタープランの計画

  • 計画対象区域:第2次都心まちづくり計画の「札幌都心」として定義される区域を基に、環境エネルギー施策を積極的に推進するための約300haの区域を設定。
  • 計画の進め方
    1. 関係者との連携・調整:「推進協議会」を設立し、札幌市がプランの進行管理や関連施策との調整を行う。
    2. 都心まちづくりのプラットフォームとの連携:「第2次都心まちづくり計画」の「プラットフォーム」と「マネジメント体制」の構築と連携して進める。
    3. プランの進行管理と柔軟な見直し:年度毎に進捗状況をモニタリング・公表し、社会動向を考慮してプランの内容を見直す。
    4. プロジェクトの事業費設定:2019年度から2022年度までの事業費は、「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」に設定。
  • 重点課題
    1. 理念と目標の共有:関係者との理念や目標、将来像の共有と協力・調整を図る(関連SDGs:Goal 4)。
    2. 低炭素で持続可能なまちづくりの枠組み構築:土地利用の高度化・共同化の機会を活用して、低炭素で持続可能なまちづくりを誘導(関連SDGs:Goal 3,7,8,11,12,13,15)。
    3. パートナーシップによる目標達成:国内外の先進都市や企業との交流を促し、パートナーシップで目標達成を目指す(関連SDGs:Goal 9,17)。
  • その他:本プランの対象区域外でも、第2次都心まちづくり計画の都心区域内では、マスタープラン及びアクションプランの考え方を基に、柔軟に取組を進める方針。

このマスタープランは、札幌都心の持続可能な未来を形成するための基盤となるものです。

https://www.city.sapporo.jp/kikaku/downtown/toshin-energy/documents/ap_gaiyo.pdf

プロジェクト①(低炭素で強靭な熱利⽤)

  • 基本的な考え方
    • プロジェクトの達成指標
      • 2023年度の目標:地域熱供給の熱のCO2排出係数を0.059kg-CO2/MJ以下にする(2012年比で9%以上の削減)。
      • 2030年度の目標:地域熱供給の熱のCO2排出係数を0.055kg-CO2/MJ以下にする(2012年比で15%以上の削減)。
    • このプロジェクトは、コージェネレーションの排熱や再生可能エネルギーの熱利用を受け皿とする地域熱供給を普及・拡大するもので、札幌の低炭素化と強靭化の核となる取組です。
    • 既存の高温水の導管ネットワークを活用し、建物の更新や地下歩行空間整備と連動して、冷水・温水の導管ネットワークへの転換と次世代型のインフラの再構築を目指します。都心強化先導エリアを中心に、接続利用の拡大とエネルギーセンターの整備を進める。

具体的な取り組み内容(低炭素で強靭な熱利⽤)

  1. 冷⽔・温⽔導管ネットワーク幹線の整備
    • 関係者: エネルギー事業者、札幌市
    • 内容: 既存の⾼温⽔導管を活用し、冷⽔と温⽔の熱導管ネットワークの幹線を官⺠連携で整備する。
    • 主な取り組み: 官⺠連携による整備スキームの構築、都⼼強化先導エリアでのループ状導管幹線の整備。
  2. コージェネレーションを導⼊したエネルギーセンターの整備
    • 関係者: エネルギー事業者、ビル事業者、札幌市
    • 内容: ⼤規模な開発計画と連動して、複数のエネルギーセンターを冷⽔・温⽔導管ネットワークで連系して効率的に運⽤する。
    • 主な取り組み: エネルギーセンター整備の検討調整、コージェネの導⼊調整、都市開発の誘導・調整との連携。
  3. 再⽣可能エネルギーの導⼊拡⼤
    • 関係者: エネルギー事業者、札幌市、道内⾃治体、⺠間企業
    • 内容: 冷暖房⽅式に対応した建物の普及と、再⽣可能エネルギーの地域熱供給への導⼊拡⼤。
    • 主な取り組み: 再⽣可能エネルギー導⼊拡⼤に向けた調査・検討・調整、道内⾃治体との連携体制の構築。
  4. スマートなエネルギー利⽤
    • 関係者: エネルギー事業者、ビル事業者、札幌市、⺠間企業
    • 内容: ビッグデータやAI、ICTを活⽤して、エリア・エネルギー・マネジメント・システム(AEMS)の最適化。
    • 主な取り組み: スマートなAEMSの構築検討、地域新電⼒との連携による熱電マネジメントの検討。

プロジェクト②(低炭素で強靭な電⼒利⽤)

  • プロジェクトの達成指標
    • 地域新電⼒のCO2排出係数
      • 2023年度: 0.532kg-CO2/kWh以下(2012年⽐で23%以上の削減)
      • 2030年度: 0.433kg-CO2/kWh以下(2012年⽐で37%以上の削減)
  • 地域新電⼒事業: 都⼼エリア外から再⽣可能エネルギー由来の電⼒を調達して供給し、再⽣可能エネルギー利⽤の拡⼤を進める。この事業は、省エネビル化や地域熱供給利⽤と連携して、都⼼エリアの建物に低炭素な電⼒を供給することを⽬指している。
  • 再⽣可能エネルギーの導⼊: 需給調整や災害時にも役⽴つ蓄電池やEV、⽔素などの多様なエネルギー利⽤を進める。
  • 国際競争⼒の強化: 世界で広がるRE100やESG投資などの脱炭素経済の進展を⾒据えて、再⽣可能エネルギー由来の電⼒供給体制の確⽴を進める。

具体的な取り組み内容(低炭素で強靭な電力利⽤)

1. 地域新電力事業の展開

  • 関係者: エネルギー事業者、札幌市、地域の関係者など
  • 取組概要: 都心エリアの建物を主な供給対象とした地域新電力を立上げ、清掃工場のバイオマス電力の活用や道内の再生可能エネルギー発電事業との連携により、低炭素な電力の供給と地産地消の推進を目指します。
  • 活動指標:
    • 事業スキームの構築
    • 地域新電力会社の立上げ
    • 連携協定、契約の締結
    • 低炭素な電力供給
    • プロジェクト⑥「都市開発の誘導・調整」との連携

2. 再生可能エネルギーの導入拡大

  • 関係者: エネルギー事業者、札幌市、道内自治体、民間企業など
  • 取組概要: 地域新電力の再生可能エネルギー由来の電力供給量を増大させるため、道内の風力や太陽光、バイオマス等の発電電力の導入に向けた連携体制の構築を進めます。
  • 活動指標:
    • 道内の再生可能エネルギー発電事業者との連携
    • 道内自治体との連携体制の構築
    • 再生可能エネルギー電源の開発スキームの検討

3. エネルギーの需給調整・多様化

  • 関係者: エネルギー事業者、札幌市、民間企業、ビル事業者など
  • 取組概要: 再生可能エネルギー由来の電力利用を拡大するうえで必要となる需給調整用の蓄電池等の整備と多様な形態によるエネルギー利用を進めます。
  • 活動指標:
    • 再開発等との連携による蓄電池、EV充電ステーションの整備
    • 水素利用の検討

まとめ

札幌市都心アクションプランは、都心エリアの環境とエネルギーの持続可能性を向上させるための取り組みを示すプランです。主な目標は、CO2の排出削減と再生可能エネルギーの利用拡大にあります。

これから、2050年のカーボンニュートラルに向けて大きな変化が求められます。

札幌市や北海道の方針を参考に、各社がCO2削減の取り組みを実施することが必要になります。