観光庁補助金申請の条件となった【観光施設における心のバリアフリー認定制度】について解説

制度の概要

観光庁は「観光施設における心のバリアフリー認定制度」という制度を立ち上げました。この制度は、バリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む姿勢のある観光施設を対象としています。認定を受けた施設には、観光庁が指定する認定マークを授与します。これにより、認定された観光施設は、さらなるバリアフリー対応や情報発信を進めることができます。また、ご高齢の方や障害のある方が安全で快適な旅行をするための環境整備を推進する役割も果たします。

対象となる施設

次のいずれかに該当している観光施設が対象です。

1.宿泊施設
(1)旅館業法(昭和23年法律第138号)上の営業許可を得ている施設
(2)国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)上の認定を受けている施設
(3)住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)上の届出をしている施設     

2.飲食店(食品衛生法(昭和22年法律第233号)上の営業許可(食品衛生法施行令(昭和28年政令第229号)第35条第1号及び第2号に掲げるものに限る。)を得ている施設)

3.観光案内所(日本政府観光局から外国人観光案内所の認定を受けている施設等)

4.博物館(博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館及び同法第31条の規定により博物館に相当する施設として指定された施設)

認定基準

認定基準は以下の3つの条件を全て満たす必要があります。

観光庁HP:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/innovation_00001.html より引用

認定基準① 施設のバリアフリー性能を補完

バリアフリーを補完できる措置を3つ以上講じる必要があります。
以下例になりますが、記載事例外でも観光庁に認定されれば問題ありません。

【認定対象施設共通】
① 車いすや杖の貸出し
② 車いす用可動式スロープの用意
③ 車いす利用者が使いやすい席の確保
④ 車いす利用者がスムーズに通行できるよう、必要に応じたベッド・椅子などの配置移動
⑤ スタッフによる車いすの段差サポート
⑥ 身体の負担を考慮した玄関近くの駐車場の確保
⑦ 筆談・手話によるコミュニケーション
⑧ 聴覚障がいのある方向けに、来客や非常時などの情報を振動や光で伝える装置の設置
⑨ 視覚障がいのある方向けに点字案内物の用意
⑩ 視覚障がいをお持ちの方に対して、スタッフ同行案内による備品の説明
⑪ 補助犬ユーザー用にマットやボウルの貸出し
⑫ 発達障がいをお持ちの方向けに、落ち着けるスペースの確保
⑬ 施設内外で利用可能な多目的トイレなどの案内

【宿泊施設・飲食・博物館特有】
⑭ 浴室用シャワーチェアや手すりなどの貸出し【宿泊】
⑮ 聴覚障がいのある方向けに、テレビの字幕表示が可能なリモコンの貸出し【宿泊】
⑯ 視覚障がいをお持ちの方に対して、メニューの読み上げ【宿泊・飲食】
⑰ 視覚障がいをお持ちの方に対して、配膳時に「クロックポジション」を用いたり皿に手を導いての配置説明【宿泊・飲食】
⑱ 刻み食やとろみ食など調理のアレンジ対応【宿泊・飲食】
⑲ 食事のアレルギー対応【宿泊・飲食】
⑳ 視覚障がいのある方向けに、点字や触地図等による案内・解説【博物館】
㉑ 視覚障がいのある方向けに、音声ガイドの貸し出し【博物館】
㉒ 聴覚障がいのある方向けに、動画の字幕などを整備【博物館】
㉓ レプリカ等を用いた「さわれる展示」を設置【博物館】

観光庁HP:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/content/001600644.pdf より引用

認定基準② バリアフリーに関する年に 1 回以上の教育訓練

審査の対象となる取組は、以下のいずれかに該当します。
1つ目は、講師が教える形式の研修です。
2つ目は、冊子や動画教材などを使用して自主的に学習するものです。
3つ目は、バリアフリーに貢献する資格を持った職員、例えば手話通訳士などを雇用していることです。

具体的な取組内容によって申請の記載方法が異なります。
1つ目に該当する場合は、研修の名称(名称が特にない場合は、講師名など)を明記してください。
2つ目に該当する場合は、使用した教材の名称を明記してください。
3つ目に該当する場合は、当該職員が保有する資格、人数、雇用期間を明記してください。

また、「今後5年間の実施予定時期」欄には、申請時点で予定している研修の内容と実施予定時期を月単位で記入してください(例: 令和3年1月申請の場合、令和3年1月~令和7年12月までの期間)。
年に1回以上の教育訓練を実施することが認定要件です。

この項目は、随時取組状況の確認時に参考とさせていただくだけでなく、次回の認定更新の際にも審査の対象となります。

状況に応じて、予定時期から前後して実施していただくことは特に問題ありません。

認定条件③ 他社サイトによる情報発信

自社のHPではなく、他社サイトに自社施設のバリアフリー情報を掲載する必要があります。

トップページではなく施設の個別ページの URL をご記入ください。なお、情報発信の内容には、ソフト面のバリア・バリアフリー情報および、ハード面のバリア・バリアフリー情報を含めることが望ましいです。

観光庁HP:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/content/001600644.pdf より引用

まとめ

今回は、【観光施設における心のバリアフリー認定制度】について紹介させていただきました。
今後のトレンドとして、補助金の申請要件も一定の基準を満たしていないと申請すら出来ないということになっていきそうです。

社会貢献とエコ・サステイナブルを両立した企業が望まれます。観光庁の補助金に関してはこちらにまとめてありますので、ぜひご覧ください。