3次公募開始!!令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金について解説

事業目的

日本は2030年のエネルギーミックス達成、そして2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、積極的な省エネルギー設備投資とエネルギー管理の適正化を推進しています。この補助金は、その目標達成を支援するために設けられました。企業や事業者が最新の省エネルギー技術を導入することで、エネルギー消費の効率化と脱炭素化を実現し、持続可能な社会の構築を目指します。

予算額

この補助金には多額の予算が割り当てられており、以下の年度ごとに配分されています。

年度予算額
2024約170億円
2025約770億円
2026約370億円
2027約100億円

これにより、多くの事業者が補助金を受け取ることが可能となり、省エネルギー投資を加速させることが期待されます。

補助対象事業区分

補助金は以下の3つの事業区分に対して交付されます。それぞれの区分に応じた設備や要件が設定されています。

事業区分補助対象設備省エネルギー効果の要件
工場・事業場型先進設備・システム、オーダーメイド型設備省エネルギー率+非化石割合増加率:30%以上、 省エネルギー量+非化石使用量:1,000kl以上、 エネルギー消費原単位改善率:15%以上
電化・脱炭素燃転型指定設備(産業ヒートポンプ、業務用ヒートポンプ給湯器、低炭素工業炉、高効率コージェネレーション、高性能ボイラ)省エネルギー率+非化石割合増加率:10%以上、 省エネルギー量+非化石使用量:700kl以上、 エネルギー消費原単位改善率:7%以上
エネルギー需要最適化型EMS機器省エネルギー率2%以上

これにより、事業者は自社のニーズに応じた最適な設備を導入し、省エネルギー効果を最大化することができます。

補助率及び補助金限度額

各事業区分ごとに設定された補助率と補助金限度額は以下の通りです。

事業区分中小企業者等大企業・その他上限額下限額
工場・事業場型補助率2/3以内補助率1/2以内15億円/年度(非化石申請時20億円/年度)100万円/年度
電化・脱炭素燃転型補助率1/2以内補助率1/3以内3億円/事業全体(電化する事業の上限額5億円)30万円/事業全体
エネルギー需要最適化型補助率1/2以内補助率1/3以内1億円/事業全体100万円/事業全体

この補助率により、中小企業も大企業も、積極的に省エネルギー投資を行うインセンティブが高まります。

申請手続き

補助金の申請手続きは以下の手順で行います。

  1. 事前準備:必要な書類をすべて揃える。特に、省エネ効果を証明するデータと事業計画書は重要です。
  2. 申請書類の提出:提出先は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)です。提出方法や期限は公募要領に従ってください。
  3. 審査:提出書類に基づいて審査が行われます。不備がある場合、再提出を求められることがあります。
  4. 交付決定:審査を通過した場合、補助金の交付が決定されます。
  5. 事業実施:計画に基づいて事業を実施します。進捗状況を定期的に報告する必要があります。
  6. 事業完了報告:事業完了後、実績報告書を提出します。省エネ効果を実測データで報告することが求められます。
  7. 精算払請求:実績報告が承認されると、補助金が支払われます。

申請に必要な書類

  • 申請書
  • 事業計画書
  • 見積書
  • 省エネ効果の試算書
  • 法人の証明書類(登記簿謄本、定款等)
  • 過去のエネルギー使用量のデータ
  • その他補助金交付規程で定められた書類

1次公募の採択結果

事業区分申請件数採択件数採択率採択金額合計 (億円)計画省エネ量 (kl)
(Ⅰ)工場・事業場型 (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 (Ⅳ)エネルギー需要最適化型87件70件80.5%180.354,731.5

事業区分別 採択事業概要

事業区分平均省エネ率 (%)平均省エネ量 (kl)平均経費当たり省エネ量 (kl/千万円)
(Ⅰ)工場・事業場型 (Ⅳ)エネルギー需要最適化型13.9%1,330.8 kl5.5 kl/千万円
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型15.9%91.3 kl14.7 kl/千万円

この表に基づいて、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業の1次公募における申請・採択結果を見ていきましょう。

事業区分別 申請・採択結果概要

全体で87件の申請があり、そのうち70件が採択され、採択率は80.5%となっています。採択された事業の総採択金額は180.3億円で、計画省エネ量は54,731.5klです。これにより、多くの事業者が補助金を受け、省エネルギー設備の導入が進められていることがわかります。

事業区分別 採択事業概要

それぞれの事業区分における省エネ効果を詳しく見てみると、以下のような結果が得られました。

  1. (Ⅰ)工場・事業場型 (Ⅳ)エネルギー需要最適化型
    • 平均省エネ率: 13.9%
    • 平均省エネ量: 1,330.8 kl
    • 平均経費当たり省エネ量: 5.5 kl/千万円
  2. (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
    • 平均省エネ率: 15.9%
    • 平均省エネ量: 91.3 kl
    • 平均経費当たり省エネ量: 14.7 kl/千万円

これらのデータから、電化・脱炭素燃転型の事業は平均省エネ率が高く、経費当たりの省エネ効果も高いことがわかります。工場・事業場型およびエネルギー需要最適化型の事業も大規模な省エネ効果を達成していますが、経費当たりの効果はやや低めです。

注意点

  • 事業開始前に申請すること:交付決定前に事業を開始した場合、補助対象外となります。
  • 正確なデータと書類:虚偽の申請が発覚した場合、補助金の返還が求められ、将来的な申請が制限される可能性があります。
  • 期限厳守:書類の提出期限を厳守し、必要な情報を漏れなく提供すること。

この補助金は、省エネルギー設備への投資を促進し、脱炭素化を進める企業や事業者を支援するために設けられています。適切な手続きと要件を満たすことで、企業は省エネルギー効果を高め、持続可能な経営を実現することが期待されます。積極的に申請し、社会全体のエネルギー効率化に貢献しましょう。