COP28が開催【いまさら聞けないCOPとは?】岸田首相のコメントも公開

COP「Conference of the Parties」とは?

COP「Conference of the Parties」は、国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)の締約国が参加する会議です。この会議の目的は、気候変動に関する国際的な対策を協議し、具体的な行動方針を決定することです。

参加国

条約締約国(196か国及び欧州連合)、国連及び関連組織・機関、報道機関、承認済み非営利オブザーバー組織が会議に参加できます。

目的

COPの主な目的は、気候変動に対処するための国際的な協力と対策を進めることです。これには温室効果ガスの排出削減、気候変動の影響への適応策の推進、技術移転、資金提供などが含まれます。

合意事項

COPでは、過去に重要な国際合意がなされています。例えば、1997年のCOP3で採択された京都議定書や、2015年のCOP21で採択されたパリ協定などがあります。これらの合意は、国際的な気候変動対策の枠組みを形成しています。

開催頻度

COPは毎年開催され、開催国は毎回変わります。これにより、各国が気候変動問題に対する取り組みを共有し、進捗を確認する機会が提供されます。

参加者

会議には政府代表のほか、NGO、科学者、ビジネス界の代表など、多様なステークホルダーが参加します。

COPは、世界的な気候変動対策の中心的なフォーラムとして重要な役割を果たしており、各国の政策や国際社会の動向に大きな影響を与えています。

過去の会議による決定内容について

では、過去にはどのような取り組みが決定されたのでしょうか。

京都議定書(1997年採択)

  1. 目的: 京都議定書の主な目的は、先進国が温室効果ガスの排出量を削減することによって、気候変動に取り組むことです。
  2. 排出削減目標: この議定書は、1990年の排出量を基準に、主要な先進国に対して、2008年から2012年の間に特定の割合で温室効果ガスの排出を削減することを義務付けました。
  3. 参加国: 京都議定書は主に先進国に対して義務を課すもので、発展途上国は排出削減の法的義務を負っていませんでした。
  4. メカニズム: 「排出量取引」、「クリーン開発メカニズム(CDM)」、「共同実施(JI)」など、柔軟性のあるメカニズムが導入されました。

パリ協定(2015年採択)

  1. 目的: パリ協定の目的は、地球の平均気温上昇を産業革命前比で2度未満に抑えること、さらには1.5度に抑える努力を目指すことです。
  2. 全面的な参加: この協定は、すべての国が気候変動対策に取り組むことを求めています。これには、発展途上国も含まれます。
  3. 国別貢献(NDC): 各国は、自国の状況に応じた「国別貢献(Nationally Determined Contributions、NDC)」を設定し、定期的に更新していくことが求められます。
  4. 柔軟性と透明性: パリ協定は、各国の異なる能力と状況を認めつつ、透明性のある枠組みのもとで進捗を報告することを求めています。
  5. 資金支援: 発展途上国が気候変動対策を実施するための資金支援も重要な要素です。

COP28 日本のスピーチ内容

12月1日、岸田総理はアラブ首長国連邦(UAE)ドバイにて開催中のCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)の首脳級会合である世界気候行動サミットに出席し、開会式に参加したほか、首脳級ハイレベル・セグメントにおいてスピーチを行いました。岸田総理のスピーチの概要は以下のとおりです。

COP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)は初のグローバル・ストックテイクを完了させますが、世界はまだ1.5度目標の道筋に乗ってはいません。軌道修正のためには、2030年までの行動が決定的に重要となります。
 2050年ネット・ゼロの達成、全温室効果ガスを対象とする経済全体の総量削減目標の設定及び2025年までの世界全体の排出量ピークアウトの全てが必要です。
 日本は、2030年度に46パーセント減、更に50パーセントの高みに向け挑戦を続けています。既に約20パーセントを削減しており、着実に進んでいます。
 G7広島サミットで確認されたように、経済成長やエネルギー安全保障と両立するよう、多様な道筋の下で、全ての国が一緒になりネット・ゼロという共通の目標を目指そうではありませんか。
 日本は、GX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法に基づき、成長志向型カーボンプライシング構想を実行していきます。来年には、世界初の国によるトランジション・ボンドを国際認証を受けて発行いたします。排出削減、エネルギーの安定供給、経済成長の三つを同時に実現するGXを加速させ、世界の脱炭素化に貢献します。アジアでは、アジアゼロエミッション共同体の枠組みの下で各国との協働を進めており、今月には初の首脳会合を開催する予定です。
 日本は、徹底した省エネと、再エネの主力電源化、原子力の活用等を通じたクリーンエネルギーの最大限の導入を図ります。我々には、太陽光の導入量が世界第3位となる実績があります。この文脈で、日本は、世界で再エネ容量を3倍とし、エネルギー効率改善率を2倍とするとの議長国の目標に賛同いたします。
 あわせて、クリーンエネルギーサプライチェーンの多様化に向け、公正で持続可能な事業環境をグローバルに整備することを目指します。
 また、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所については、各国の事情に応じたそれぞれのネット・ゼロへの道筋の中で取り組まれるべきです。日本は、自身のネット・ゼロへの道筋に沿って、エネルギーの安定供給を確保しつつ、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していきます。
 官民合わせて700億ドル規模の支援を行うとの我々のコミットメントの実施も、着実に進んでいます。
 その上で、世界銀行とアジア開発銀行に信用補完の供与を通じた合計約90億ドル規模の融資余力拡大に貢献する用意があり、また、アフリカ開発銀行の新基金へも貢献いたします。
 日本は、人類共通の課題である気候変動問題に各国と共に取り組み、国際社会をリードいたします。ありがとうございました。

首相官邸HP https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/1201cop28_speech.html より引用

その他主要国のスピーチについて

アメリカ合衆国

COP28にあわせて、アメリカ政府は気温の上昇を1.5度に抑えるためとして、2050年までに世界の原子力発電所の発電容量を3倍に増やすことを目指すとする宣言を発表し、日本を含む20か国以上が賛同しました。

イギリス

国連の気候変動対策の会議・COP28でイギリスのチャールズ国王が演説し、世界の気候変動対策は「軌道から大きく外れている」としたうえでこの会議を「真の改革に向けた転機に」と訴えました。

UAE

議長国UAEは世界の再生可能エネルギーの容量を2030年までに3倍にする有志国誓約をまとめ、116カ国が加わったと発表した。日本も賛同した。

まとめ

COP(Conference of the Parties)は、気候変動という地球規模の課題に対処するための重要な国際会議です。この会議は、国際社会が一堂に会し、気候変動への対応策を協議し、新たな合意に至る場として機能しています。COPの過去の成果、例えば京都議定書やパリ協定などは、国際的な気候行動の方向性を定めてきました。しかし、気候変動の現実は日々進行しており、それに伴いCOPの役割も進化し続けています。COPは、持続可能な未来への道を切り開くために、世界各国が協力して取り組むべき永続的なプラットフォームであり、その重要性はこれからも増していくでしょう。