【令和7年度私立学校施設整備費補助金】空調機(エアコン)新設とLED照明に使える補助金を徹底解説!!

学校の風景

近年、エネルギーコストの上昇や環境意識の高まりを背景に、学校施設におけるLED照明や高効率空調への設備更新が急速に注目を集めています。特に私立学校では、生徒や学生が安全・快適に学習できる環境を整えつつ、財政負担を極力抑えることが大きな課題です。そこで注目されるのが、文部科学省が所管する「私立学校施設整備費補助金」です。本コラムでは、令和7年度の補助金制度を踏まえて、LED照明化(エコキャンパス推進事業)や空調設備の整備(施設環境改善整備事業)にフォーカスし、学校の総務担当者の皆さまが抑えておきたいポイントをまとめました。

本補助金は大学・短期大学・高等専門学校(以下「大学等」という)を対象としています。具体的には、文部科学大臣の所轄下にある私立大学や短期大学、高専を設置する学校法人が、この補助金の応募資格を有する「対象の学校」です。


1.学校施設整備における補助金の重要性

学校施設は、老朽化対策・省エネ化・防災機能の向上など、さまざまな投資が必要となる一方で、財政面での負担が大きいのも事実です。私立学校施設整備費補助金は、こうした設備投資に対して国が費用の一部をサポートし、学校経営の安定化と教育環境の質向上を両立するための制度として機能しています。特に令和7年度の募集要項では、LED照明化工事空調設備の設置・更新が明確に対象事業として示されています 。

本コラムでは、総務担当者が知っておくと便利な補助金の申請手続きや留意点を整理し、LED照明空調設備それぞれの工事のメリットを具体的に解説します。


2.エコキャンパス推進事業(LED照明化工事)の概要

2-1. 事業の背景

「エコキャンパス推進事業」は、学校法人の環境負荷削減を目的に、照明設備を省エネルギー仕様(LED等)へ更新する取り組みを支援する事業です。学校施設の大部分を占める照明をLED化することで、電気代やメンテナンスコストの削減だけでなく、CO₂排出量の抑制にもつながります。

2-2. 対象経費と補助率

  • 対象経費
    照明設備のLED化にかかる工事費実施設計費などが補助対象です。単なる電球交換でなく、照明器具そのものを交換する場合や新規設置する場合も含まれます。
  • 補助率
    事業費の1/2以内となっており、かつ学校の補助対象施設面積に基づく上限額が設定されています。
    例)床面積に1平方メートルあたり一定の単価を乗じた額=補助対象上限経費 ⇒ その1/2が補助金上限目安

2-3. 応募要件

LED照明工事を補助対象として申請する場合、学校法人全体の耐震化率屋内運動場等の吊り天井落下防止対策の状況が問われます。

  • 耐震化率96.6%以上、または令和10年度までに耐震改修を完了させる計画
  • 屋内運動場等の落下防止対策実施率が100%、または令和10年度までの完了計画を有していること
  • 経営状況に著しい問題がない(過去3年の経常収支差額が連続赤字かつ外部負債が過大でない など)

これらの要件を満たせない場合は、耐震補強工事非構造部材の落下防止対策と合わせて応募するか、やむを得ない理由を別途説明する書類が求められます。

2-4. LED照明導入のメリット

  1. 省エネ効果と電気代の削減
    蛍光灯など従来型照明に比べ、LED照明は消費電力が大幅に少なく、電気料金の負担軽減が期待できます。
  2. 長寿命による保守コスト低減
    LEDは照明寿命が長いため、交換頻度が減り、メンテナンスの手間やコストを削減できます。
  3. 学習環境の向上
    LED照明は演色性や照度を細かく調整できる製品が多く、生徒・学生にとって最適な光環境を実現しやすい利点があります。
  4. 環境アピールとSDGs推進
    省エネ対策を積極的に打ち出すことで、学校としての環境保全意識の高さをPRできます。

3.施設環境改善整備事業(空調設備工事)の概要

3-1. 事業の背景

近年の猛暑や異常気象への対策として、空調設備の新設・更新は私立学校にとっても急務となっています。「施設環境改善整備事業」では、こうした空調設備工事を補助対象としており、熱中症対策や学習環境向上のための設備導入を支援するものです。

3-2. 対象経費と補助率

  • 対象経費
    空調機器の設置・更新に伴う工事費実施設計費などが補助対象となります。従来は更新工事が中心と考えられてきましたが、新設工事も補助対象となり得る点が大きなポイントです。
  • 補助率
    事業費の1/2以内、かつ上限額は1事業あたり2億円となります 。大型の空調設備更新や大規模校の一斉導入でも対応可能な仕組みが整っています。

3-3. 応募要件

エコキャンパス推進事業と同様に、耐震化率吊り天井等落下防止対策の実施状況などが重視されます。特に、学校法人としての取り組み姿勢が審査されるため、耐震補強工事や非構造部材の点検を同時に計画する、あるいは令和10年度までの完了計画を整備しておくことが重要です。

3-4. 新設工事への適用

「省エネ性能の高い空調を既存設備から更新する」だけでなく、「これまで空調がなかった教室・講堂などに新たに設置する」場合も補助対象となるため、夏の熱中症対策冬場の冷え対策など、授業環境の快適化を大きく前進させることができます。

3-5. 空調設備更新のメリット

  1. 電力コスト削減と運営効率化
    旧式の空調機を最新機種に変えると、年間の冷暖房費を大幅に抑えることが可能です。
  2. 学習環境の向上
    適切な室温が維持され、学生の集中力アップや健康リスクの低減が期待できます。
  3. 防災拠点としての機能向上
    学校施設が地域の指定避難所等に指定されている場合、空調設備の整備により災害時も快適かつ安全に利用しやすい環境を提供できます。

4.補助金活用の主なステップ

ここでは、エコキャンパス推進事業(LED照明)・施設環境改善整備事業(空調設備)を中心に、申請から完了報告までの流れを概観します。

4-1. 情報収集と要件確認

  • 文部科学省の通知文・ガイドラインを熟読
    令和7年度の私立学校施設整備費補助金に関する通知や交付要綱を確認し、要件をチェックします。
  • 学内状況の把握
    自校の耐震化率、吊り天井落下防止対策の実施率、過去3年の経常収支差額などの財務情報を整理し、応募可能か判断します。

4-2. 計画調書の作成

  • 所定の様式に沿って作成
    文部科学省が提示するExcelの計画調書に、施設の状況や工事内容、見積額などを詳細に記入します。
  • 関連資料の添付
    • 図面(配置図・平面図)
    • 入札結果または見積書
    • 耐震診断報告書(該当する場合)
    • 落下防止対策に関する書類 など
  • 業者選定の透明性
    入札や3者以上の見積合わせによる競争性公平性を確保し、その根拠資料をまとめます。

4-3. 提出・審査・交付決定

  • 提出期限に注意
    「令和7年4・5月契約予定分」と「令和7年6月以降契約予定分」で締切が異なるため、スケジュール管理をしっかり行いましょう。
  • 審査・交付決定
    文部科学省内で審査が行われ、採択となると交付決定通知が出ます。交付決定前に工事や契約を開始した場合、その部分は補助対象外となるため要注意です。

4-4. 工事着手と完了報告

  • 令和7年度内に完了
    交付決定を受けたうえで、年度内(翌年3月末)までに工事を完了させる必要があります。長期休暇や稼働の少ない時期を狙って工事を進めると良いでしょう。
  • 実績報告
    工事完了後は、完了報告書・実績報告書などを所定の様式で提出します。不備があると補助金の振込が遅れることもあるので、抜け漏れがないようにしましょう。

5.費用対効果の具体例

5-1. LED照明導入事例

ある私立大学が全学部の照明設備をLED化した際の試算例です。

  • 初期導入費用:5,000万円(照明器具本体+工事費)
  • 補助金:2,500万円(1/2)
  • 年間電気代削減:約1,000万円
  • 回収期間:約2.5年(補助金控除後)

教室や図書館、研究室など広範囲に導入することで、大きな省エネ効果が得られた事例です。

5-2. 空調設備更新事例

老朽化した空調機を高効率モデルに一斉交換した高校・短期大学併設校の試算例です。

  • 初期導入費用:1億円
  • 補助金:5,000万円(1/2)
  • 年間運営費削減:約1,500万円
  • 回収期間:約3.3年(補助金控除後)

猛暑期の電力使用量が軽減され、学生の学習効率向上と欠席率低下にも寄与しました。


6.よくある質問(FAQ)

Q1. LED照明化と空調設備更新、両方の事業を同時に申請できますか?
A. 可能です。ただし、重複する経費は二重に計上しないように注意しましょう。計画調書を事業ごとに分け、補助対象経費を明確化する必要があります。

Q2. 工事が年度内に終わらなかった場合はどうなるのでしょうか?
A. 原則、年度内完了が条件です。繰越手続きが認められる場合もありますが、やむを得ない理由がない限りは難しいため、工程管理が重要です。

Q3. 耐震化率や吊り天井落下防止対策が不十分でも応募できる?
A. 原則として、耐震化率96.6%未満や吊り天井落下防止対策が未完了の場合、耐震補強工事非構造部材の耐震点検等に同時応募するか、令和10年度までに完了する計画を提示することが求められます 。

Q4. 新設キャンパス(まだ設置認可前)でも補助金は使えますか?
A. 基本的には、設置認可が下りていない新規開設施設は対象外となるケースが多いです。ただし、増築や改築の一環として認められる場合があるため、具体的には文部科学省や専門家に相談してください。


7.総務担当者が押さえておきたい実務上の注意点

  1. 入札・見積手続きの透明性
    交付要綱第9条および「建設工事等に係る補助事業遂行に当たっての留意事項」を遵守し、適正な手段で契約先を決定することが求められます。
  2. 費用区分の明確化
    工事全体に補助対象外の部分が含まれる場合、内訳書を用いて補助対象内外を区別し、根拠資料を備えておくことが大切です。
  3. バリアフリー化・避難所指定の確認
    地域防災の拠点として指定されている学校の場合、スロープやエレベーター、バリアフリートイレの設置などが評価される可能性があります。整備率を高めることで採択にプラスに働くこともあります。
  4. 財務状況の健全性
    収支差額が大幅に赤字であったり、外部負債が運用資産を超過している場合は応募に制限があります。補助金は国民の税金を原資としているため、学校法人の財政基盤が問われる点は避けられません。

8.まとめ:補助金を最大限活用して快適な学習環境を

LED照明や空調設備の更新は、教室の快適性向上・生徒の健康リスク低減・省エネルギーによるコスト削減など、多くのメリットをもたらします。一方で、補助金の採択を受けるためには耐震化率落下防止対策バリアフリー化といった学校全体の安全性や防災機能強化も重要な評価ポイントとなります。つまり、設備更新を単体で捉えるのではなく、学校運営全般の将来計画と整合性をもたせることが求められるのです。

年度内完了工事契約のタイミングなど、クリアしなければならない要件は多いものの、それを乗り越えれば大きな補助金を活用して大規模な設備投資が可能になります。今後の学校経営において、LED照明と空調設備の整備は必須とも言える重要課題です。補助金を上手に活用することで、財政的な負担を軽減しながら、学習環境を大きくアップデートする絶好の機会となるでしょう。


9.totokaへのご相談もご検討ください

ここまで、私立学校施設整備費補助金(令和7年度)の概要を参照しつつ、LED照明や空調設備の更新に焦点を当てて解説してきました。「自校の状況で本当に採択されるのか」「必要書類の作成や要件確認が難しい」といった悩みをお持ちの学校法人は少なくありません。

  • 補助金申請に必要な全体スケジュールの策定
  • 耐震化や落下防止対策との組み合わせ方
  • バリアフリー化や省エネ計画との整合性
  • 入札・見積書類のチェックと不備の補正

これらを踏まえた最適なプランニングを行うには、専門的な知識やノウハウが不可欠です。そこで、設備投資や補助金申請に精通した私たちtotokaが、皆さまをサポートいたします。 具体的には、

  1. 補助金の最新情報の提供
    国の予算や政策動向に合わせた申請戦略をアドバイスします。
  2. 要件確認と書類作成支援
    学校法人の耐震化率や経営指標などを確認しながら、申請時に必要となる計画調書や各種書類の作成をサポートします。
  3. 施設計画・工事計画の立案
    LED照明や空調機器の選定から、実施設計、入札手続きまでトータルでご相談可能です。
  4. アフターサポート
    補助金採択後の実績報告や完了報告など、年度をまたぐ業務もトラブルなく進められるようフォローいたします。

「効率よく補助金を活用し、快適な学習環境を実現したい」という学校法人の皆さまへ
LED照明化や空調設備更新の計画立案から申請支援・工事管理に至るまで、私たちtotokaは総合的なコンサルティングと実務サポートを提供しています。どうぞお気軽にご相談ください。貴校の現状や課題を丁寧にお伺いし、最適なソリューションをご提案いたします。

学校の未来を創るために。補助金を最大限活用しながら、持続可能で質の高い教育環境をともに築いていきましょう。